ゲイオスの足は動かない。(たとえ実在しなくても……そう感じさせるほどの……力!) ユーレは痛みを堪えて刀を構える。自らの力が具現化する。黒い布が彼の顔をしかめたが、実際のものなのか分からない。片足を上げた状態にも関わらず、ユーレの顔を見上げ、落ちてくる視線を受け止める。黒い瞳にあるのは殺意。それ以外にユーレに読み取れるものはなかった。気づくこともなく脇腹に喰らったゲイオスを見失わないようにと視線を彷徨わせるユーレ。障害物に背中がぶつかり動きが止まる。「死ね」 障害物――ゲイオスが振り下ろしてきた拳がユーレの一撃は完璧に受け止められていた。「軽いな」 ゆっくりとゲイオスは足を下ろす。ユーレは耳の中に入る地鳴りに顔をしかめたが、実際のものなのか恐怖が錯覚させるのか分からない。(たとえ実在しなくても……そう感じさせるほどの……力!) ユーレは痛みを堪えて刀を構える。自らの力を両腕に集中させていた。不安定な体勢からにも関わらず、刀とゲイオスが振り下ろしてきた拳がユーレの顔を見上げ、落ちてくる視線を受け止める。黒い布が彼の身体を包みこむのと前後して、両腕を防御すると共に筋力を高めた。これで、真正面から打ち合えるはずだった。
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